特集
コロナ時代の菌との付き合い方

【医師が解説】コロナ時代の菌との付き合い方
微生物は敵じゃない、菌と仲良くなろう!
- 常在細菌を守り、健康に過ごす方法 -

UPDATE 2021.09.08

目次

  1. 1.菌は敵ではありません
  2. 2. 微生物とは?
  3. 3.目の前に病原性の菌がいる
  4. 4.麹はカビ菌の一種だけど、善玉菌
  5. 5.腐敗菌が地球環境を良くしている
  6. 6.菌とウィルスの違い
  7. 7.微生物の大きさは?
  8. 8.ウィルスが人の体に入ると起きること
  9. 9.微生物と人は、昔からライバル
  10. 10. ウイルスと人類の遺伝子には20%ほど共通項がある
  11. 11.腸内細菌は1キログラムある
  12. 12.病気の方に、第一にしてほしいこと
  13. 13.皮膚常在菌の恩恵を知ろう
  14. 14. アルコール消毒をし過ぎると、感染症にかかりやすい
コロナ時代の菌との付き合い方

菌は敵ではありません

「微生物は敵じゃない」という言葉の背景には、多くの方が微生物を敵視していることを憂いていると見て取れます。
企業のCMが除菌抗菌を連呼することと、コロナ禍による不安の助長が根底にはあるでしょう。

菌を大雑把に分けると、人の役に立つ微生物を善玉菌と呼び、病原性をもたらす微生物を悪玉菌と呼んでいます。これはあくまでも中心は「人」です。
実はそのどちらでもない菌が最も多いのですが、人類が認識している菌のなかで、役割が分かっているのは1%に過ぎないそうです。
99%は「いる」ことは分かっているが、何をしているか全く分かりません。

今も新たな菌が発見され続けているので、人智を遙かに超えた存在なのです。

微生物とは?

微生物は文字通りもの凄く小さい生き物です。
田んぼや海水の一滴を顕微鏡で覗いたことがあるでしょう。果てしなくいろいろな微生物がいらっしゃいます。

海で遊ぶとうっかり海水を飲んでしまうことはあるでしょう。
でも、下痢はしません。

1mlに1,000億もの微生物がいるとされる海水なのに、誰も下痢をしないのは病原性を発揮する微生物が通常の海水には殆どいないことを示しています。

目の前に病原性の菌がいる

見た目に問題ないからと、うっかり腐ったものを食べてしまうと嘔吐や下痢を来たします。
ということは、常に皆さんの目の前に病原性の菌がいる、ということになります。

焼いたパンが数日でカビてしまうし、作ったカレーが一晩で腐るほど、病原性の菌は日常的な存在なのです。
それを呼吸で吸い込み、口から食べていますが、何も起こらないのはなぜでしょう。

それが生体防御力であり、免疫機能なのです。

病原性の菌であっても、その量が少なければ人体に影響することなく駆逐できますが、圧倒的に多量となれば、生体としては嘔吐や下痢で対処せざるを得なくなるのです。
「病原性の菌を体内に留めておくことなどできない!」と胃腸が判断している限り、嘔吐や下痢は続くのです(あまりにも続くようならば点滴を要することはございます)。

コロナ時代の菌との付き合い方

麹はカビ菌の一種だけど、善玉菌

麹と呼ばれるカビの一種を活用した酒や味噌は、我々に多くの恩恵をもたらす発酵を行う善玉菌です。

お酒造りの杜氏さんたちは天文学的な数の麹のなかで作業しますが病気にはならないです。
その菌たちが木の柱や梁に住み着くことで「蔵付き麹菌」となります。

天然酵母パンという響きがお好きな方は多いのではないかと思いますが、先ほどの腐敗菌と同じく、常に目の前にいます。
長年天然酵母でパンを発酵させ続けた場所には蔵付き天然酵母がお住まいで、よりパンが発酵しやすくなる好循環が生まれます。これはお酒もお味噌も同様です。

腐敗菌が地球環境を良くしている

地球環境的な視点で菌を見ますと、腐敗菌がいるからこそ野山で死んだ動物は速やかに腐敗分解され土に返ります。
落葉は腐敗菌と発酵菌が共同して腐葉土を作ります。

もし人が敵視する腐敗菌がいなくなれば、落ち葉はそのまま残り、山の動物の死体もそのままになり、足の踏み場もなくなります。
微生物と同様に、昆虫たちも地球環境に大きく貢献しています。

生命の底辺を支えているのが微生物であり、その上に昆虫がいて、爬虫類や両生類がいて、動物や鳥がいて、人がいる、という生態系のヒエラルキーがあります。
その最底辺の微生物環境を良くすることが地球環境を良くするし、人の健康も良くすると思って頂きたいのです。

ただし、お風呂がカビたり、ものが腐るように、日常的に放置すると悪玉の方が優勢になるのです。
ですから、善玉環境にし続ける為には善玉菌が喜ぶように人のお世話が欠かせないのです。
ぬか床を毎日かき混ぜるのも、そういうことですね。味噌やヨーグルトのように、一度善玉天下になれば悪玉菌の入る余地はかなり減りますが、悪玉天下にならないように観察は必要です。

コロナ時代の菌との付き合い方

菌とウィルスの違い

ここで菌とウイルスを分けて考えましょう。

菌は自己分裂を繰り返し、猛烈な勢いで数を増やすことができます。
ウイルスは人の細胞に入る合鍵(スパイク蛋白)と自分の設計図である遺伝子(RNAやDNA)を持っているだけの単純構造で、自力で増殖することができません。

本来の生命定義から外れるウイルスですが、世間一般では微生物と認定されています。

微生物の大きさは?

微生物の大きさを認識する方法を述べます。
1mmを定規で確認してください。その1mmに人の細胞は100個並んでいます。その1つの細胞を自分の握りこぶしに拡大すると、菌の大きさは直径1cmのパチンコ玉になります。

ウイルスになりますと、そのパチンコ玉についた一粒の砂くらいになります。
その砂の表面にコロナウイルスの場合はスパイク蛋白と呼ばれるトゲトゲが生えている、というイメージです。

そのイメージを脳の中で作れましたか?

人の細胞にウイルスが付いた状態は、握りこぶしに砂粒が一つ付いた状態です。
その握りこぶしを100個並べると1mmです。大丈夫ですか?

コロナ時代の菌との付き合い方

ウィルスが人の体に入ると起きること

細胞の中に入ったウイルスは持ち込んだ遺伝子を人の細胞のシステムを利用して自分のコピーを作るのです。
たとえて言うと、A新聞社の工場に合鍵を持ったB新聞社の社員が侵入します。その侵入者が持ち込んだ情報をA新聞社の機械に読み込ませ、A新聞社の工場でB新聞を刷りまくるだけでなく、梱包して出荷までしてしまう。それに気づいたA新聞社の警備員はこの工場はダメだと判断し、そのA新聞社の工場を爆破します。

この警備員に相当するのが白血球の中のリンパ球の中のキラーT細胞という免疫細胞です。

爆破されたA新聞社の工場はウイルスに感染してウイルスまみれになった細胞です。
警備員は爆破と同時に侵入者を特定し、本部へ連絡して手配書を作り、全社員に侵入者を認識させます。
更に、対新聞社Bの侵入者に対する防御網を張ります。
これにより、次の侵入を阻止することができるのです。

これがリンパ球の病原体を記憶することであり、抗体を作って次に備えることです。凄いですね。

微生物と人は、昔からライバル

人類の歴史は飢餓と感染症との戦いと言っても過言ではありません。

微生物と人類、お互いが生き残りをかけてのサバイバル。
微生物は侵入と増殖方法を模索し、人体は防御と撃退方法を模索し続け、あたかもライバルかのように切磋琢磨して成長進化してきました。
いつしか微生物が熱で死ぬことを人体が発見し、戦いの最終手段として発熱という能力を開花させました。

しかし、発熱するにはかなりの体力を要する為、その力を発揮できなければ微生物の勝利となります。

コロナ時代の菌との付き合い方

ウイルスと人類の遺伝子には20%ほど共通項がある

その切磋琢磨の記録とでも申しましょうか、ウイルスと人類の遺伝子には20%ほど共通項があるそうです。

人類がウイルスの遺伝子を取り込んだのか、ウイルスが人類の遺伝子を抜き取ったのかは分かりません。
あと、全人類の細胞内にあるミトコンドリアですが、これは元々菌だということが分かっています

人が進化する過程の中で、菌を取り込むことをどこかで選んだのか、勝手に入り込んで組み込まれたのか、これも分かりません。

ミトコンドリアはエネルギー効率を格段に上げてくれる優れた存在です。
もしミトコンドリアが無かったら、恐らくマラソンは不可能となり、寿命も短命となるでしょう。
精子が泳ぎ続ける原動力もミトコンドリアです。
我々人類は元々菌であるミトコンドリアのおかげで繁栄し、長生きできるようになったのだと思えます。

そのような共生環境を微生物と築いてきた歴史が今も脈々と腸内と皮膚上で続いているのです。

腸内細菌は1キログラムある

我々の腸内細菌叢と呼ばれる菌の皆さんを1カ所に集めると1kgはあるとされており、彼らの存在無くして我々の健康は維持できません。

細かな説明を省いて一言で言うと、腸内細菌叢は人体の自然治癒力全体を底上げしてくれるのです。
対がん免疫のNK細胞活性が2〜5割増しになるなど、恩恵は計り知れません。

この関係性は畑の作物と土壌菌との関係性とほぼ同じだというのも不思議です。
地球の歴史において、菌の恩恵無くして生命を維持することすら難しくなっているとも言えます。

コロナ時代の菌との付き合い方

病気の方が一番にすることは?

私は病気で相談に来る方全員に申します。
先ず第一にすべきことは腸内細菌叢を育み、愛でることであると。

菌の皆さんが喜ぶのは繊維質です。一般的にはプレバイオティクスと呼ばれています。
同様に善玉菌友を投入することをプロバイオティクスと呼び、腸内細菌叢の応援団を発酵食品などで供給します。結果として、柔らかい発酵臭のする大便が心地よく出てくるでしょう。

常在菌の恩恵

また、濃い体毛を持たなくなった人類は、皮膚常在菌と共生することで防御力を得ています。
人体は弱アルカリ性なのに対し、皮膚は弱酸性を維持しています。
酸性は人体に不利益な悪玉菌の繁殖を抑える役割を持っており、この酸性は皮膚常在菌が作り出しているのです。

皮膚常在菌が皮脂を食べ、酸を排出することで弱酸性環境が作られます。
ですから、手も洗いすぎると皮脂や皮膚常在菌がかなり減ります。

ましてや、アルコール消毒を使いすぎると皮脂は溶け出し、菌も死滅します。
その結果、皮膚は防御力を失い、悪玉菌の天下になるだけでなく、あらゆる汚染物質が入り放題となってしまいます。

アルコール消毒をし過ぎると、
コロナにかかりやすい

小学校で授業ごとに手洗いとアルコール消毒をし続けた結果、両方の手の平が膿んでしまった生徒さんが相談に来ました。
これでは新型コロナウイルスも入り放題となり、本末転倒です。

もし何度も手指消毒をするのであれば、お惣菜売り場にいる方がしているように、薄手のゴム手袋をしていればアルコール消毒をいくらしても皮膚に損害は及びません。

このようにならぬよう、物事の道理を理解した上で行動して頂きたいと願っております。

手指を衛生的に保つ、手指のオーガニック衛生洗浄スプレー「手指キレイナチュラ」
  • この記事の執筆は 自然派医師 田中佳先生

医学博士
日本抗加齢医学会認定専門医
ドクターホメオパス

昭和60年に東海大学医学部卒業後、同大学付属病院脳神経外科助手を経て、市中 病院で急性期医療に長年携わる。

大学在任中、悪性腫瘍癌に関する研究により医 学博士を取得。
その後、日本脳神経外科学会認定専門医・日本抗加齢医学会認定 専門医となるが、現代医療の限界を感じ、異なる方法を模索しているときに自然 療法に出会う。

著書
あなたが信じてきた医療は本当ですか?

公式HP
https://capybara-tanaka.com/